品薄のバター ホテルシェフはどう工夫? マーガリンで焼き菓子など(04/09 13:43)

野菜のうま味で、バターの濃厚さを補うことを薦める石垣シェフ

 道内の生乳生産量の減少などで、家庭用バターの品薄状態が依然として続いている。料理をする主婦にとって、パンやお菓子作りなどに欠かせない食材だけに、手に入りにくいと、料理の選択肢が狭まり食卓の彩りにも影響する。バターの代用品でおいしい料理は作れないか?。そこで、札幌市内ホテルのシェフがバターを使わず、しかも家庭でできる「プロの技」を披露、品薄の危機脱出法を伝授してもらった。

札幌グランド 井上副料理長

 札幌グランドホテルでは昨秋から、業務用バターの不足により、一部の製菓でマーガリンを使用。ただ、利用客からは違和感もなく、食べてもらっているという。

 料理の世界に入って三十年余りの井上政美副料理長(56)は、家庭でも作れる「マンゴーケーキ」と、「シガレット」と呼ばれる焼き菓子をバターの代用品として、マーガリンで作ってくれた。

 バターで作った場合と比べると、焼き上がりの香りはバターの方がやはり香ばしいが、味や食感はほとんど変わらない。

 「料理に必要なのは、工夫と知恵です。サラダ油を使ってできるケーキもありますからね」と井上副料理長は強調する。

京王プラザ 石垣シェフ

 京王プラザホテル札幌にある洋食レストラン「アンブローシア」。今のところ、バター品薄の影響は出てはいないが、石垣雅敏シェフ(38)は、食材のうま味を生かすことで、バターの濃厚さを補う手法を教えてくれた。

 例えば、家庭料理の定番カレーライス。なべで野菜をいためた後、水を通常の二倍入れる。弱火でじっくり煮込み、水かさが半分ほどに減ったところで再び水を足し、煮込む作業を二、三回繰り返すことで、野菜のうま味が増し、バターを入れなくても、濃厚な味が出せるという。

 石垣シェフは「健康に気を使っている人ほど、おすすめできる手法ですよ」と話す。(郡義之)