叱ったら負け

そして、このような御相談の際に共通してアドバイスさせて頂くようにしている事が一つあります。それは、上手に叱るには、「叱り方よりも、もっと大事な事」があるという事。

実は叱られた後、「よし!これからは行動を変えよう!」と感じるのは、「叱り方」よりも「誰に叱られているか?」の方が影響力があるのです。

「上手に叱るには」とか「上手な叱り方」なんてものは無いというのが私の実感。

その人の行為、行動を改めて欲しいと思ったときにそれを実行する為に「叱る」という手段を取った時点で負けだと思ってます。
いかに「叱る」という手段を取らずに間違いに気付かせるか、行動を改めてもらうかが勝負でしょう。
本人がそれと気付かずに行動が変わっていたら、それが指導者の手腕なんじゃないかな?

それが上手な指導者なんだっていう事が分かっている人じゃないと理解できないことではあるけど、
理解できている人はこういう会話をする。

だから、わざと課題に困らせるもの入れておいて、でも、目の付くところにヒントがあって、本人が自分で発見したように思わせる。そういうのは、ちゃんと身に付く。

俺)たしかに。

彼)だから、覚えて欲しい方はそうやって、一度苦労をさせて本人に気が付かせる。教えてない、本人が勝手に気づいた。でも、チームはそれで幸せ。本人も幸せ。

俺)うまく行ってる?

彼)簡単だよ。間違ってる方法をやってれば、絶対にどこかで困ったりするから、そのタイミングを見てればいい。そこで、そっとパスを出す。

私はまだ実践できる段階で無いので失敗ばかりだけどね。
先日も周囲のフォローにより大事には至らなかったが実は大きなミスをしてしまった部下が
すっかり凹んで自信喪失してしまったときは
「あ〜彼に気付かせるチャンスがあったのに、どうしてあの時に上手にパスをだせなかったんだろう〜」
なんて後になって悔やんだり。

難しいのは、パスを出すタイミングが悪いと手遅れになってしまったり、相手の受け入れ態勢を見誤るとスルーされてしまったりすることかな。

ほんの少しでも毎日観察すること、ほんの少しでも質問をして話を聞き出すこと、これが出来るようにならないと。

部下に自分の話を聞かせることは出来ても、部下から話を聞きだすのって本当に難しい。
質問してるはずが答えも聞かずに自分の経験談を話してることが何度もあるんだよねえ。

これが出来ればいいパスを出せるようになるんじゃないですかねえ。
まずはそこから。

「叱ったら負け」だよ。