インテリジェンス 武器なき戦争

梅田望夫氏の書評
小飼弾氏の書評にそそられて一気に読んでしまった。

インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)

インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)

 ブライアン・フリーマントルのチャーリー・マフィン・シリーズ(消されかけた男 (新潮文庫)など)やジョン・ル・カレのスパイ小説(寒い国から帰ってきたスパイ (ハヤカワ文庫 NV 174)など)のファンである私にとって、スパイなどの情報戦の世界の話はCIAやMI6だけの世界であって、日本政府ではありえないとばかり思っていた。
 
 イアン・フレミングジェームス・ボンド・シリーズなどはスーパー・ヒーローのような活躍をするスパイを描いた小説だが、上記はそれと対極を成すリアルなスパイ小説と呼ばれていた。しかし、それすらも日本にいると非現実的なものとして感じられるのだが、この対談を読むと同じような活動をしていた人々が日本政府にも居り、そして至って日本的な官僚制度の中でその抵抗とも戦っていたという真実を知ることができる。

 佐藤・手島両氏ともこの対談を読む限りでは一線から引いた印象が強いが、人材育成への熱意には強いものを感じた。「人材さえいればどんな器でも力を発揮できる語る」と佐藤氏には公安・外務省・自衛隊・メディアという垣根を越えて日本のインテリジェンスを担う人材の育成に今後は力を発揮してもらいたい。