メトロポリタンの集団感染で分かったノロウイルス感染経路の盲点

 ホテルメトロポリタンでのノロウイルス感染による食中毒には一つ今までの食中毒対策に欠けていた点を浮き彫りにした。

 今までのノロウイルス対策といえば予防法ばかりだったが、発症後の対処方法に問題点があったというのだ。

 東京・池袋のホテルメトロポリタンで今月上旬、利用客と従業員計347人が下痢や嘔吐(おうと)などを訴える被害があり、池袋保健所で原因を調べたところ、ホテル内のじゅうたんに付着した客の微量の吐物から、人が歩くたびにノロウイルスが空気中に拡散、感染性胃腸炎を集団発症した疑いの強いことがわかった。

ここに今までの対策に大きく抜け落ちていた問題点があったのだ。


排泄物や吐瀉物から感染することは今までも注意が喚起されていたが、
残留吐物が乾燥した後にウイルス粒子が空気中に拡散して経口感染する
という危険性については見過ごされてきた。

 同保健所や同ホテルによると、2日昼、ホテルでの結婚式に出席した女性客1人が、3階ロビーと宴会場のある25階通路で2度にわたり嘔吐。ホテル側が中性洗剤を使ってふき取った。

 しかし5日昼になって、不調を訴える利用客が出始め、ホテル側は保健所に報告。患者が3階と25階の利用客に集中しているため、感染源は、じゅうたんに残った微量の吐物だった可能性が高いと判断。同ホテルは、保健所の指導で消毒などの対策を取った。国立感染症研究所によると、今冬のノロウイルスなどによる感染性胃腸炎の流行は、過去25年で最大規模という。
(2006年12月14日3時6分 読売新聞)

ノロウイルスの感染経路としては

  1. 加熱の不十分な二枚貝などからの感染
  2. 感染者の排泄物や吐瀉物からの感染

が今まで注意されてきた。そして、対策として
1については85℃以上で1分以上加熱することでウイルスを死滅させる
2については調理者・営業者などの手洗いの励行でウイルスを広げない
という方法が一般に言われていた。


 このホテルでも調理に携わる従業員には予防法の教育は当然されていただろうが、上の対策では今回の集団感染は防ぐことはできなかったのだ。
なぜなら、客室や共有スペースでの吐物の洗浄こそが今回の原因だったのだから。


 ここでまず「ノロウイルスは空気感染しない」という認識を捨てなければいけない。厳密には空気感染ではなく飛沫感染というべきなのだろうが、残留吐物が乾燥した後にウイルス粒子が空気中に拡散する事実を見る限り、空気感染に近い対策をとるべきだった。ノロウイルス対策として吐瀉物に対する処置方法を新たに一つ加えていただきたい。


 感染者の排泄物・吐瀉物はほんのわずかでも残さないように徹底的に洗い流し、次亜塩素酸ナトリウム(いわゆる塩素系漂白剤)を使用して消毒する事。そして乾燥した後は空調に吸収されないよう換気を充分にする。


 大量集団感染を防ぐ為にもアルコール消毒を過信せず次亜塩素酸ナトリウムを上手に使って厨房以外も消毒していただきたい。


こんなものがあった。
サラヤ株式会社HPよりノロウイルス4大予防対策汚物の処理